お疲れ様です。さいがきです。
みなさん新快速は好きですか?私は好きです。速くて便利なので。
現在新快速は、主にJR西日本大阪エリアの東海道・山陽線系統とこれの成功に追随したJR東海名古屋エリアの東海道線で運行されています。一方でJR東日本には多彩な快速が首都圏を走っているものの、新快速なる種別は設定されておらず、首都圏エリアには新快速が走っていません。
オタクの皆さんには「JR東日本にも新快速があったらどうなるんだろう?」と妄想したことがある人も多いかも知れません。私はしたことあります。でも逆に「なんでJR東日本には新快速が無いんだろう?」とも疑問に思ったこともあるでしょう。勿論明確な答えがどうなのかとかは私は知りませんが、何となくこうなんじゃないかな~というのをだらだら考えていこうと思います。
1.新快速ほどではないが、東日本の中距離電車が既に西日本の快速以上の役割を果たしているから。
ぶっちゃけ言ってしまえば東北線方面の上野東京ライン系統はこれに尽きると思います。京浜東北線と並行する区間である大宮から横浜までで考えても、上野東京ラインの停車駅は大宮 さいたま新都心 浦和 赤羽 尾久 上野 東京 新橋 品川 川崎 横浜の11駅になるのですが、ここに京浜東北線の停車駅を挟むと、大宮 さいたま新都心 与野 北浦和 浦和 南浦和 蕨 西川口 川口 赤羽 東十条 王子 上中里 田端(尾久) 西日暮里 日暮里 鶯谷 上野 御徒町 秋葉原 神田 東京 有楽町 新橋 浜松町 田町 高輪ゲートウェイ 品川 大井町 大森 蒲田 川崎 鶴見 新子安 東神奈川 横浜となります。その数35駅。大宮から横浜までは京浜東北線経由*1で59.1kmです。一方大阪を中心に新快速停車駅を11駅抜き出すと、明石 神戸 三ノ宮 芦屋 尼崎 大阪 新大阪 高槻 京都 山科 大津となります。ここで普通電車の停車駅を合わせると明石 朝霧 舞子 垂水 塩屋 須磨 須磨海浜公園 鷹取 新長田 兵庫 神戸 元町 三ノ宮 灘 六甲道 住吉 摂津本山 甲南山手 芦屋 さくら夙川 西宮 甲子園口 立花 尼崎 塚本 大阪 新大阪 東淀川 吹田 岸辺 千里丘 茨木 摂津富田 高槻 島本 山崎 長岡京 向日町 桂川 西大路 京都 山科 大津となります。43駅で105.3kmです。通過駅数で見ても11停車駅で走る距離で見ても新快速の方が優位である、という結果になりました。ここで西日本の方の普通のみ停車の駅を落としてみます。明石 舞子 垂水 須磨 兵庫 神戸 元町 三ノ宮 六甲道 住吉 芦屋 西宮 尼崎 大阪 新大阪 茨木 高槻 島本 山崎 長岡京 向日町 桂川 西大路 京都 山科 大津になりました。快速停車駅は26駅。これで比較するのはさすがに上野東京ライン贔屓な気もしますが、上野東京ラインの1.7倍の距離で駅数は2.1倍という結果に。朝ラッシュは高槻京都間は長岡京のみ、神戸明石間は兵庫のみの停車駅に変貌しますが、まあそれは例外として考えます。これで机上では西日本の快速≦東日本の普通<西日本の新快速という序列がぼんやり浮かび上がります。これを踏まえて次に行きます。
2.東京のネットワークが大阪のネットワークほど細長くないから。
地形図を見ればわかると思いますが、関西ってかなり山がちな地形で、大阪市周辺にしかまともな平地が無いため、淀川流域と大阪湾沿岸に大都市が集中しています。一方東京はあっても台地や丘陵地で、東京を中心にいたるところ、いたる距離に都市が存在しています。言ってしまえば東京とある都市を最短距離で結べるのです。都心から船橋と都心から所沢と都心から横浜と都心から八王子が別路線で存在できて、全部別々に一直線で結べるのは地形のおかげです。これによって、わざわざ長距離で列車を動かす意味が重要視されなくなるのではないでしょうか。反対に関西は基本的に私鉄がガッツリ並行するため、私鉄との競合が激化し、より速く、より便利に、ということを追求するようになります。仮に三田や亀岡、高田のあたりまで平野で、生駒や丹波や比良の山地が無かったら新快速も生まれなかったかもしれません。
関東は平野部が広いため、都心外縁~近郊の密度が高く、人口集積が大きいこともあり、新快速ほど駅を飛ばす意味もあまりないのかもしれません。例えば中央特快の停車駅が八王子 立川 三鷹 新宿 御茶ノ水 東京だったらオタクしか喜びませんね。競争らしい競争は京浜間のJRと京急、千葉県内のJRと京成くらいなもんでしょう。また、大宮や立川、高崎といった、競合路線が無い大規模駅も存在しているため、速達性もある程度で十分なのでしょう。
3.運行スタイルが根本的に違うから。
JR東日本の快速を見て欲しいのですが、快速が途中で各駅停車に化ける例が多々あり、快速運転がされている区間は別個で各駅停車を運転しています。埼京線の武蔵浦和行きや京葉線の海浜幕張行きとかね。まあ簡単に言うと都心付近の快速と郊外の各駅停車を一括で運転していることになります。全部じゃないけどね。極端な例が日中の川越線になります。来る電車は全て川越線内各駅停車の快速です。緩行線が並行している場所の快速も緩行線の平行が無くなると各駅停車になります。常磐線の普通とか中央線の快速とか*2。
確かに西日本の快速も西明石~高槻までが快速区間ですが、JR東日本っぽい脳みそで考えると、快速は加古川~京都の運転で新快速は加古川以遠京都以遠は各駅停車になるのが考えられます。中央特快が立川から各駅停車なのは三鷹で緩行線がなくなり、豊田で快速が折り返したり、青梅線へ直通していったりするため*3*4です。多分ね。だから快速姫路行きやら網干行きは西明石で新快速に抜かされ、加古川で加古川止まりの列車に接続してそこから各駅に止まるのが関東っぽい運用です。下手したら普通は高槻から神戸までで、快速は高槻以東神戸以西各駅停車の京都始発西明石行き、新快速の通過運転区間は京都から西明石とかになるかもしれません。西日本の快速には末端部の補完という性格が希薄で、強いて言うなら姫路以西に入線する新快速や湖西線や北陸本線内の新快速くらいにしかその性格が見られません。この温度差が特徴な気がします*5。
結論
東京近郊に新快速が無い理由は、
1.西日本の快速以上の普通列車が既に存在しているから
2.都市圏が帯状に細長い訳では無いため、競合私鉄も分散され、速達性が西日本ほど重要視されないから
3.そもそも会社内で快速の担う役割が違うから
に大別できました。が、結局は「今更作ったところで東日本では使い道が見えてこない」という結果です。それぞれの生活スタイルの差と言ってしまえばそこまでではありますが、今まで作り上げられてきたダイヤのスタイルや、それぞれの路線でそれぞれの列車に担わせてきた役割が違うことが窺えます。特に東日本では快速の上位に「通勤快速」や「特別快速」を設定し、かなり役割を細分化させているようにも感じられます。また、「新快速」という「種別」がフラッグシップの大阪近郊と「湘南新宿ライン」「上野東京ライン」といったように「運転系統」がフラッグシップの東京近郊のブランディングの差もあるように感じます。「速さ」を売り出した西日本と「乗り換えの少なさ」を売り出した東日本の差ですね。神戸線の運営がJR東日本だと阪和線から神戸とか直通させますよ多分。
というのが「JR東日本に新快速が無い理由」の考察でした。結局表面的な考察になってしまいました。データによる出典が示せればよかったのですが、今の運行形態に合わせたライフスタイルが確立されたうえでの考察でしたので偏見で語らざるを得なかったのが反省点ですね。名古屋圏内の話も出来ればよかったのですが、名古屋も阪神阪急を名鉄に変えればほぼ大阪近郊と一緒なので言及するほどでもないと思いました。近鉄にすれば関西線にも言えるのですが、設備的に関西線は普通に勝ち目がないので新快速が無いのでしょう。豊橋や岡崎、岐阜にこそ及びませんが、津や松阪、鳥羽とかなら新快速の効果はあるのでしょうが、観光に寄せた快速みえが走っていることからも察せられます。
以上が今回の記事になります。長々と失礼しました。それでは!